商空間研究002_都心の伽藍堂_【植物屋・カフェSOLSO PARK】
青山にある、新手の小規模開発プロジェクト。2000m2程度でしょうか。
広場を囲み、植物屋とコーヒーショップ、イベントスペースがある。
隣接して静かな公園もあり、子供連れでも楽しめる工夫がなされています。
早速ですが観察図です。
◆平屋建ての鉄骨小屋で構成し、工期短縮、ローコスト化
>建物は基本的に平屋建ての鉄骨造で、単純なスパン割りとなっており、
工期の短縮と、コストの大幅な削減を可能としている。
→このお店を取り上げた一番の理由です。
平屋の倉庫のような店舗は、仮設性が高く、
入れ替えやイベントにも対応しやすいです。
もはやお店自体がブルーシート的で、
お花見のように、その周囲の環境に依存する性格を持ちます。
この小屋という発想は、これからの商空間にとって
外せない考え方の一つとなるのではと思います。
>経営的な面から見ても、比較的低投資で済み、工事費の高騰が続く中、
箱を最小限で作る必然的な手法とも言えるでしょう。
>屋根は折半屋根とし、ポリカの部分と、金属折半の部分を織り交ぜている。
→植物の育成のため、光を取り入れたいが、
光を入れすぎると植物が日焼けしてしまうためと思われます。
>やや暗い環境になるところに、ネオンの映えポイントが設けられている
→これが効いてます。かっこいい。あまり照明も過剰にしていない中、
コスト投資が効果的です。
店ならではの要求から発生する環境こそ、店の個性を表すシーンとなる、
映えポイントにできる!
POINT1
内部の要求から、箱を決める。削れるところは徹底的に削り、
合理化することでコストダウン。
合理化の先に個性のきっかけが現れる。ただケチるのではなく、
合理化した先にある本当の個性を探したい。
◆屋外のショーケース=屋台という発想
>屋台が通り沿いに散りばめられ、そこに屋外陳列がされている。
→まず、賑やかでアイキャッチになっています。
一つ一つも可愛らしく、使い勝手も良さそうです。
屋外の屋台は、出し入れの手間が省けるとともに、
敷地を超えて世界観を構築することができる、効果的なツールです。
思わず覗き込みたくなってしまうような、高さと形態を持っていました。
>屋外に平置きするのと違い、商品群に中心性が生まれる。
それらが屋台形式をまとうことで、分かりやすいくくりとして理解される。
→手に取ってもらえたり、近づいて見てもらえるきっかけを提示しつつ、
通りの賑やかしになっています。
→当たり前のことではありますが、
什器にこのような予算をしっかり見込むことも極めて重要。
什器は屋内にばかり考えがちですが、屋外什器や、
移動できる屋台なども考慮してみると良さそうです。
POINT2
ショーケースはどこにでも作れる。
多様なニーズの中それを実現するのが、これからの商空間設計の要。
箱で完結しないこと。個性の時代。
リースラインなど超えて関係性を作る什器を考えたい。
◆中庭型の配置構成
>敷地形状に合わせて建物を端に配置し、
中庭を囲んで、物販、飲食、休憩が囲んでいる。
>周りを囲まれているので仕方ないが、スケールがどこか狭苦しい。
→休憩コーナーが、なぜカフェと離れているのか、これが理解できなかったです。(誰か教えてください)
私なら、カフェと休憩コーナーを隣接させ、
向かいに植物屋の対面構成とするのですが。。。
その方が、くつろぎながら、子供の遊ぶ様子を見、その向かいに植物屋の
四季折々のグリーンの森を眺めることができる可能性が高いからです。
かつ、カフェの売り上げとの相乗効果も見込めたはず。。。
→なぜ、せっかく植物屋があるのに、くつろぎながら薄い人工芝(雨水勾配とれてる?)
とペンキ塗りのカフェを見なければならないのか・・・。
→なんでだろう、と思ったポイントです。
POINT3
安易に敷地の形に頼るな。場所の設計は、合理的なエレメント間の関係から。
風の流れ、四季の移ろいなど、当たり前の要素を明確に共有、把握すべし。
◆徹底的なペンキワーク
>壁面が赤系の色で塗られ、サインも壁面にペイントされている
→みなさんいかがでしょうか。。。たしかにコスト削減効果は大いにありますが、
私論としては、ダサいの一言に尽きてしまいます。
(おそらく、デザイナーはアドルフロースを知らない)
店内のインテリアをまるで信じていないし、
販売されるであろう商品を盛り上げる気がまるでないのではと。
商品より目立っているのでは。。。これも、なんでだろうポイント。
POINT4
ペンキは、装飾や目立たせるためでなく、構成を作るために使うべし。
もしくは、消すために塗るべし。これによって本当のアクティビティが現れるはず。
◆伽藍堂の店舗
>伽藍堂の店舗に、単純な什器が配置されている。
天井を感じさせず、半屋外のようなイメージ。
→構成が単純で、せっかく伽藍堂の気持ち良い空間なのだから、
もっと抜けを作っても良かったのでは、と思いました。
取り組もうとしたことは面白いのに、普通に倉庫になってて、、、な感じ。。。
>高い天井高は気積があり、気持ち良い環境を実現、見上げる体験があった
→植物屋ということで、見上げることを効果的に使いこなしていました。
POINT5
伽藍堂の空間には、高さの抑揚や抜けをつけないと間延びする。
倉庫っぽい場所ほどインテリアは頑張るべし。
やや辛口なまとめになってしまいましたが、
都心にありながらリーズナブルな価格で高品質な植物が手に入る、オススメの場所です。
なんだかんだ植物見に行ってしまいます。
業態や、平屋の伽藍堂で構成するアイデアは可能性があるので、見習いたいと思いました。
みなさんもぜひ。