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商空間研究002_都心の伽藍堂_【植物屋・カフェSOLSO PARK】

青山にある、新手の小規模開発プロジェクト。2000m2程度でしょうか。

広場を囲み、植物屋とコーヒーショップ、イベントスペースがある。

隣接して静かな公園もあり、子供連れでも楽しめる工夫がなされています。

 

早速ですが観察図です。

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筆者観察図

 

 

平屋建ての鉄骨小屋で構成し、工期短縮、ローコスト化

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平屋建ての伽藍堂、高天井が気持ちいい

 >建物は基本的に平屋建ての鉄骨造で、単純なスパン割りとなっており、

  工期の短縮と、コストの大幅な削減を可能としている。

 このお店を取り上げた一番の理由です。

 

  平屋の倉庫のような店舗は、仮設性が高く、

  入れ替えやイベントにも対応しやすいです。

  もはやお店自体がブルーシート的で、

  お花見のように、その周囲の環境に依存する性格を持ちます。

  

  この小屋という発想は、これからの商空間にとって

  外せない考え方の一つとなるのではと思います。

 

 >経営的な面から見ても、比較的低投資で済み、工事費の高騰が続く中、

  箱を最小限で作る必然的な手法とも言えるでしょう。

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光を取り入れ、植物の環境を考慮



 >屋根は折半屋根とし、ポリカの部分と、金属折半の部分を織り交ぜている。

 植物の育成のため、光を取り入れたいが、

  光を入れすぎると植物が日焼けしてしまうためと思われます。

 

 >やや暗い環境になるところに、ネオンの映えポイントが設けられている

 これが効いてます。かっこいい。あまり照明も過剰にしていない中、

  コスト投資が効果的です。

  

  店ならではの要求から発生する環境こそ、店の個性を表すシーンとなる、

  映えポイントにできる! 

 

POINT1

 内部の要求から、箱を決める。削れるところは徹底的に削り、

 合理化することでコストダウン。

 合理化の先に個性のきっかけが現れる。ただケチるのではなく、

 合理化した先にある本当の個性を探したい。

 

 

屋外のショーケース=屋台という発想

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通り沿いの屋台(筆者撮影)

 >屋台が通り沿いに散りばめられ、そこに屋外陳列がされている。

 まず、賑やかでアイキャッチになっています。

  一つ一つも可愛らしく、使い勝手も良さそうです。 

 

  屋外の屋台は、出し入れの手間が省けるとともに、

  敷地を超えて世界観を構築することができる、効果的なツールです。

  思わず覗き込みたくなってしまうような、高さと形態を持っていました。

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屋台の屋根ディテール(筆者撮影)


  

 >屋外に平置きするのと違い、商品群に中心性が生まれる。

  それらが屋台形式をまとうことで、分かりやすいくくりとして理解される。

 

 手に取ってもらえたり、近づいて見てもらえるきっかけを提示しつつ、

  通りの賑やかしになっています。

 

 当たり前のことではありますが、

  什器にこのような予算をしっかり見込むことも極めて重要。

  什器は屋内にばかり考えがちですが、屋外什器や、

  移動できる屋台なども考慮してみると良さそうです。

  

 

POINT2

 ショーケースはどこにでも作れる。

 多様なニーズの中それを実現するのが、これからの商空間設計の要。

 箱で完結しないこと。個性の時代。

 リースラインなど超えて関係性を作る什器を考えたい。

 

 

中庭型の配置構成

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筆者観察図

 >敷地形状に合わせて建物を端に配置し、

  中庭を囲んで、物販、飲食、休憩が囲んでいる。

 >周りを囲まれているので仕方ないが、スケールがどこか狭苦しい。

 

 休憩コーナーが、なぜカフェと離れているのか、これが理解できなかったです。(誰か教えてください)

  私なら、カフェと休憩コーナーを隣接させ、

  向かいに植物屋の対面構成とするのですが。。。

  その方が、くつろぎながら、子供の遊ぶ様子を見、その向かいに植物屋の

  四季折々のグリーンの森を眺めることができる可能性が高いからです。

  かつ、カフェの売り上げとの相乗効果も見込めたはず。。。

 

 なぜ、せっかく植物屋があるのに、くつろぎながら薄い人工芝(雨水勾配とれてる?)

  とペンキ塗りのカフェを見なければならないのか・・・。

 なんでだろう、と思ったポイントです。

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休憩スペースからの眺め(fashionmarketjournalより引用)

 

POINT3

 安易に敷地の形に頼るな。場所の設計は、合理的なエレメント間の関係から。

 風の流れ、四季の移ろいなど、当たり前の要素を明確に共有、把握すべし。

 

徹底的なペンキワーク

 >壁面が赤系の色で塗られ、サインも壁面にペイントされている

 

 みなさんいかがでしょうか。。。たしかにコスト削減効果は大いにありますが、

  私論としては、ダサいの一言に尽きてしまいます。

  (おそらく、デザイナーはアドルフロースを知らない)

 

  店内のインテリアをまるで信じていないし、

  販売されるであろう商品を盛り上げる気がまるでないのではと。

  商品より目立っているのでは。。。これも、なんでだろうポイント。

 

POINT4

 ペンキは、装飾や目立たせるためでなく、構成を作るために使うべし。

 もしくは、消すために塗るべし。これによって本当のアクティビティが現れるはず。

 

 

伽藍堂の店舗

 >伽藍堂の店舗に、単純な什器が配置されている。

  天井を感じさせず、半屋外のようなイメージ。

 

 構成が単純で、せっかく伽藍堂の気持ち良い空間なのだから、

  もっと抜けを作っても良かったのでは、と思いました。

  取り組もうとしたことは面白いのに、普通に倉庫になってて、、、な感じ。。。

 

 >高い天井高は気積があり、気持ち良い環境を実現、見上げる体験があった

 植物屋ということで、見上げることを効果的に使いこなしていました。

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店内の様子(筆者撮影)



POINT

 伽藍堂の空間には、高さの抑揚や抜けをつけないと間延びする。

 倉庫っぽい場所ほどインテリアは頑張るべし。

 

 

やや辛口なまとめになってしまいましたが、

都心にありながらリーズナブルな価格で高品質な植物が手に入る、オススメの場所です。

なんだかんだ植物見に行ってしまいます。

業態や、平屋の伽藍堂で構成するアイデアは可能性があるので、見習いたいと思いました。

 

みなさんもぜひ。