商空間研究001_ちいさな一体感【渋谷_イタリアンレストラン_goo italiano渋谷本店】
食べログ3.6のイタリアンレストラン。
珍しいパスタがおいしかったです。デザート込みで1400円は安い。
斜向かいには雷庵(蕎麦屋)もあり、大人のランチにおすすめのエリアです。
早速ですが観測図です。
◆この店の空間のよい点まとめ
1.抑揚のある寸法感
>テーブルは700角程度で小さめだが、
一品ずつ出てくるようにオペレーションされているので不自由感なし(3品が限度)
→店内を見渡せるので、食事の進捗が把握しやすい
>テーブル間は最小300mm(すみませんって言いながら通れるギリギリの寸法)
とても攻めた寸法だが、不愉快な近さではなかった
→壁面の飾りが、音の拡散、ソファが吸音効果を発揮している
→ソファの後ろに70mm程度ではあるが、首を後ろにできる奥行きがあった
>主動線は1200mm(配膳もすれ違える)あり、後ろに変な気を使わずに済む
POINT1
>動線はしっかりとるべし。席は後ろに少しでもスペースをつくるべし。
2.敷地の段差を取り込んだ、見渡せるエントランス
>坂に面した立地に対して坂の上側にエントランスを設定している。
→入った客が、店内をやや上から一望できるので、混み具合、待ち合わせがわかりやすい
→逆に、キッチンからでも来客に気付きやすい
→店内のイメージを俯瞰させて伝えることができるので、テーブル上の小物がよく見え、空間の印象づけがしやすい
→小さい低い扉から入ることで、より奥行きが伝わる
>敷地の関係上発生する高低差部分にあえてカウンターを設けることで、奥のエリアと手前のエリアにゾーニングしている
→大きなテーブルを囲んだ食堂のような店内の一体感のある奥のゾーンと、街の歩く人と目線を合わせた窓側のテーブルゾーンで、空間の特徴がはっきりと別れている
→道路を行き交う人から見下ろされないように、座った状態で目線が合うようコントロールされており、落ち着くことができる
POINT2
>高低差は積極的に利用し、席と外の人の目線は同じレベルに。
>エントランスは見える-見られるの関係をつくるべし。
3.オペレーションのよい回遊性のある平面計画
>店内はぐるりと回れるルートを計画し、ルート沿いに基本的にテーブルがある
→配膳に余裕がでる、客同士が当たらない
>明確な形態を持った動線により、エリアにあるまとまり感が生まれる
→イベントなどではとても使い勝手がよい
>キャッシャーは奥にあり、テーブルチェックもレジチェックもどちらにも対応している
→レジはどこでもよい。オペレーション優先でせっていすべし
>キッチンは奥で一文字型。
→一文字型にすることで、作っているライブ感を共有できる
→店内とのコミュニケーションが円滑化
→カウンター席を最小のスペースで設けることができる
POINT3
>可能であれば回遊性を。テーブル配置は均等でなく島をつくるべし。
>厨房はできる限りカウンター席に面するように。個人リピーターの鍵。
4.店を印象付ける、かわいいタイル
>店にはタイルが散りばめられており、白、黄色で店のテーマカラーとなっていた。
→小割りのモザイクタイルを選択することで、円形の柱や、細かい寸法体系に対応
>照明を適度に反射し、賑やかさを演出
→タイルが反射した光はやさしく拡散し、昼は賑やかさが、夜は高級感がでる。
POINT4
>タイルは小割りにして繊細な使い分けを。
>照明との相乗効果で選ぶべし。
5.ちいさくて広いロングテーブル
>空間を印象づけるのは真ん中のロングテーブル
→大きなテーブルが、ちいさな一体感を産む。
>奥行きは700mm程度、席間横は900mm
→奥行きはあえて深くしないことで、会話が弾みやすい。
→席間(芯寸法)は900近くあり、相席のようで別々という、絶妙な距離感に成功している
→このテーブルがこのお店らしさのキモ。
POINT5
>ロングテーブルは、奥行き浅く、横広くすることで無駄を解消
>空間の一体感を演出する、キャッチーなアイテムとなる
◆改善点
とてもよいですが、改装を強いて行うなら、
斜めのトイレ、エントランス周りでしょうか。
このあたりはテナントとして入る際触りにくい場所ですが、
前に木棚を作ることで、ワインをもう少し売り出せるでしょう。
個人的にワインの空き瓶を飾るのはホコリっぽい印象がぬぐえません。。。
おすすめのワインコーナーなどを作るのが良いと思います。