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商空間研究003_ハイセンスローコスト【原宿_仮設ラジオ局_radio HERMES】

写真レポート

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店内の様子。ラジオの棚にエルメスの商品が並ぶ

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背後の支持方法。ラジオは本物のため、荷重を考慮しアングルで全て固定されている

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サインは立ち上がりから吊り下げ式 

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遮音性能は最低限確保 吸音材がエルメスマークの工夫 各シーンにアイキャッチが明確に設けられている

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チラシを壁紙にして間を持たす

 

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壁面にインスタ映えしそうな照明サインが、、、!!意外と間が持っていて関心。

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柄に合わせて音楽が流れる工夫まで・・・!!空間と内容がしっかり噛み合っていました

 

商空間研究002_都心の伽藍堂_【植物屋・カフェSOLSO PARK】

青山にある、新手の小規模開発プロジェクト。2000m2程度でしょうか。

広場を囲み、植物屋とコーヒーショップ、イベントスペースがある。

隣接して静かな公園もあり、子供連れでも楽しめる工夫がなされています。

 

早速ですが観察図です。

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筆者観察図

 

 

平屋建ての鉄骨小屋で構成し、工期短縮、ローコスト化

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平屋建ての伽藍堂、高天井が気持ちいい

 >建物は基本的に平屋建ての鉄骨造で、単純なスパン割りとなっており、

  工期の短縮と、コストの大幅な削減を可能としている。

 このお店を取り上げた一番の理由です。

 

  平屋の倉庫のような店舗は、仮設性が高く、

  入れ替えやイベントにも対応しやすいです。

  もはやお店自体がブルーシート的で、

  お花見のように、その周囲の環境に依存する性格を持ちます。

  

  この小屋という発想は、これからの商空間にとって

  外せない考え方の一つとなるのではと思います。

 

 >経営的な面から見ても、比較的低投資で済み、工事費の高騰が続く中、

  箱を最小限で作る必然的な手法とも言えるでしょう。

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光を取り入れ、植物の環境を考慮



 >屋根は折半屋根とし、ポリカの部分と、金属折半の部分を織り交ぜている。

 植物の育成のため、光を取り入れたいが、

  光を入れすぎると植物が日焼けしてしまうためと思われます。

 

 >やや暗い環境になるところに、ネオンの映えポイントが設けられている

 これが効いてます。かっこいい。あまり照明も過剰にしていない中、

  コスト投資が効果的です。

  

  店ならではの要求から発生する環境こそ、店の個性を表すシーンとなる、

  映えポイントにできる! 

 

POINT1

 内部の要求から、箱を決める。削れるところは徹底的に削り、

 合理化することでコストダウン。

 合理化の先に個性のきっかけが現れる。ただケチるのではなく、

 合理化した先にある本当の個性を探したい。

 

 

屋外のショーケース=屋台という発想

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通り沿いの屋台(筆者撮影)

 >屋台が通り沿いに散りばめられ、そこに屋外陳列がされている。

 まず、賑やかでアイキャッチになっています。

  一つ一つも可愛らしく、使い勝手も良さそうです。 

 

  屋外の屋台は、出し入れの手間が省けるとともに、

  敷地を超えて世界観を構築することができる、効果的なツールです。

  思わず覗き込みたくなってしまうような、高さと形態を持っていました。

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屋台の屋根ディテール(筆者撮影)


  

 >屋外に平置きするのと違い、商品群に中心性が生まれる。

  それらが屋台形式をまとうことで、分かりやすいくくりとして理解される。

 

 手に取ってもらえたり、近づいて見てもらえるきっかけを提示しつつ、

  通りの賑やかしになっています。

 

 当たり前のことではありますが、

  什器にこのような予算をしっかり見込むことも極めて重要。

  什器は屋内にばかり考えがちですが、屋外什器や、

  移動できる屋台なども考慮してみると良さそうです。

  

 

POINT2

 ショーケースはどこにでも作れる。

 多様なニーズの中それを実現するのが、これからの商空間設計の要。

 箱で完結しないこと。個性の時代。

 リースラインなど超えて関係性を作る什器を考えたい。

 

 

中庭型の配置構成

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筆者観察図

 >敷地形状に合わせて建物を端に配置し、

  中庭を囲んで、物販、飲食、休憩が囲んでいる。

 >周りを囲まれているので仕方ないが、スケールがどこか狭苦しい。

 

 休憩コーナーが、なぜカフェと離れているのか、これが理解できなかったです。(誰か教えてください)

  私なら、カフェと休憩コーナーを隣接させ、

  向かいに植物屋の対面構成とするのですが。。。

  その方が、くつろぎながら、子供の遊ぶ様子を見、その向かいに植物屋の

  四季折々のグリーンの森を眺めることができる可能性が高いからです。

  かつ、カフェの売り上げとの相乗効果も見込めたはず。。。

 

 なぜ、せっかく植物屋があるのに、くつろぎながら薄い人工芝(雨水勾配とれてる?)

  とペンキ塗りのカフェを見なければならないのか・・・。

 なんでだろう、と思ったポイントです。

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休憩スペースからの眺め(fashionmarketjournalより引用)

 

POINT3

 安易に敷地の形に頼るな。場所の設計は、合理的なエレメント間の関係から。

 風の流れ、四季の移ろいなど、当たり前の要素を明確に共有、把握すべし。

 

徹底的なペンキワーク

 >壁面が赤系の色で塗られ、サインも壁面にペイントされている

 

 みなさんいかがでしょうか。。。たしかにコスト削減効果は大いにありますが、

  私論としては、ダサいの一言に尽きてしまいます。

  (おそらく、デザイナーはアドルフロースを知らない)

 

  店内のインテリアをまるで信じていないし、

  販売されるであろう商品を盛り上げる気がまるでないのではと。

  商品より目立っているのでは。。。これも、なんでだろうポイント。

 

POINT4

 ペンキは、装飾や目立たせるためでなく、構成を作るために使うべし。

 もしくは、消すために塗るべし。これによって本当のアクティビティが現れるはず。

 

 

伽藍堂の店舗

 >伽藍堂の店舗に、単純な什器が配置されている。

  天井を感じさせず、半屋外のようなイメージ。

 

 構成が単純で、せっかく伽藍堂の気持ち良い空間なのだから、

  もっと抜けを作っても良かったのでは、と思いました。

  取り組もうとしたことは面白いのに、普通に倉庫になってて、、、な感じ。。。

 

 >高い天井高は気積があり、気持ち良い環境を実現、見上げる体験があった

 植物屋ということで、見上げることを効果的に使いこなしていました。

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店内の様子(筆者撮影)



POINT

 伽藍堂の空間には、高さの抑揚や抜けをつけないと間延びする。

 倉庫っぽい場所ほどインテリアは頑張るべし。

 

 

やや辛口なまとめになってしまいましたが、

都心にありながらリーズナブルな価格で高品質な植物が手に入る、オススメの場所です。

なんだかんだ植物見に行ってしまいます。

業態や、平屋の伽藍堂で構成するアイデアは可能性があるので、見習いたいと思いました。

 

みなさんもぜひ。

 

商空間研究001_ちいさな一体感【渋谷_イタリアンレストラン_goo italiano渋谷本店】

食べログ3.6のイタリアンレストラン。

珍しいパスタがおいしかったです。デザート込みで1400円は安い。

斜向かいには雷庵(蕎麦屋)もあり、大人のランチにおすすめのエリアです。

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店内の様子:https://take-5.co.jp/goo-italiano/shibuya/

早速ですが観測図です。

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筆者観測図

 

 

◆この店の空間のよい点まとめ

 

1.抑揚のある寸法感

 >テーブルは700角程度で小さめだが、

  一品ずつ出てくるようにオペレーションされているので不自由感なし(3品が限度)

 →店内を見渡せるので、食事の進捗が把握しやすい

 >テーブル間は最小300mm(すみませんって言いながら通れるギリギリの寸法)

  とても攻めた寸法だが、不愉快な近さではなかった

 →壁面の飾りが、音の拡散、ソファが吸音効果を発揮している

 →ソファの後ろに70mm程度ではあるが、首を後ろにできる奥行きがあった

 >主動線は1200mm(配膳もすれ違える)あり、後ろに変な気を使わずに済む

 

POINT1

動線はしっかりとるべし。席は後ろに少しでもスペースをつくるべし。

 

 

2.敷地の段差を取り込んだ、見渡せるエントランス

 >坂に面した立地に対して坂の上側にエントランスを設定している。

 →入った客が、店内をやや上から一望できるので、混み具合、待ち合わせがわかりやすい

 →逆に、キッチンからでも来客に気付きやすい

 →店内のイメージを俯瞰させて伝えることができるので、テーブル上の小物がよく見え、空間の印象づけがしやすい 

 →小さい低い扉から入ることで、より奥行きが伝わる

 

 >敷地の関係上発生する高低差部分にあえてカウンターを設けることで、奥のエリアと手前のエリアにゾーニングしている

 →大きなテーブルを囲んだ食堂のような店内の一体感のある奥のゾーンと、街の歩く人と目線を合わせた窓側のテーブルゾーンで、空間の特徴がはっきりと別れている

 →道路を行き交う人から見下ろされないように、座った状態で目線が合うようコントロールされており、落ち着くことができる

 

POINT2

>高低差は積極的に利用し、席と外の人の目線は同じレベルに。

>エントランスは見える-見られるの関係をつくるべし。

 

3.オペレーションのよい回遊性のある平面計画

>店内はぐるりと回れるルートを計画し、ルート沿いに基本的にテーブルがある

→配膳に余裕がでる、客同士が当たらない

>明確な形態を持った動線により、エリアにあるまとまり感が生まれる

→イベントなどではとても使い勝手がよい

>キャッシャーは奥にあり、テーブルチェックもレジチェックもどちらにも対応している

→レジはどこでもよい。オペレーション優先でせっていすべし

>キッチンは奥で一文字型。

→一文字型にすることで、作っているライブ感を共有できる

→店内とのコミュニケーションが円滑化

→カウンター席を最小のスペースで設けることができる

 

POINT3

>可能であれば回遊性を。テーブル配置は均等でなく島をつくるべし。

>厨房はできる限りカウンター席に面するように。個人リピーターの鍵。

 

 

4.店を印象付ける、かわいいタイル

>店にはタイルが散りばめられており、白、黄色で店のテーマカラーとなっていた。

→小割りのモザイクタイルを選択することで、円形の柱や、細かい寸法体系に対応

 

>照明を適度に反射し、賑やかさを演出

→タイルが反射した光はやさしく拡散し、昼は賑やかさが、夜は高級感がでる。

 

POINT4

>タイルは小割りにして繊細な使い分けを。

>照明との相乗効果で選ぶべし。

 

5.ちいさくて広いロングテーブル

>空間を印象づけるのは真ん中のロングテーブル

→大きなテーブルが、ちいさな一体感を産む。

>奥行きは700mm程度、席間横は900mm

→奥行きはあえて深くしないことで、会話が弾みやすい。

→席間(芯寸法)は900近くあり、相席のようで別々という、絶妙な距離感に成功している

→このテーブルがこのお店らしさのキモ。

 

POINT5

>ロングテーブルは、奥行き浅く、横広くすることで無駄を解消

>空間の一体感を演出する、キャッチーなアイテムとなる

 

◆改善点

とてもよいですが、改装を強いて行うなら、

斜めのトイレ、エントランス周りでしょうか。

このあたりはテナントとして入る際触りにくい場所ですが、

前に木棚を作ることで、ワインをもう少し売り出せるでしょう。

個人的にワインの空き瓶を飾るのはホコリっぽい印象がぬぐえません。。。

おすすめのワインコーナーなどを作るのが良いと思います。

 

https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13133728/dtlmap/